大川端だより(387)


本日発行したメルマガ「市民プロデューサー通信162号」に下記のような記事を書きました。よかったら読んでやってください。


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┃┃■ 黒ビールでも飲みながら……(139)
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 「LGBTの家族と友人をつなぐ会」の活動


▼6月28日(日)に第19回目の「市民活動サロン・遊学亭」が大阪NPO
プラザであり参加した。今回のお題は、「『当事者家族』から『市民活動』へ
〜LGBTの家族だからこそできたこと〜」というもの。ご存知の方もおられ
ると思うが、LGBTというのは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、ト
ランスジェンダーの頭文字を取ったもので、性的マイノリティの人たちを総称
した用語だ。


▼人口の3%〜10%は必ず存在すると言われているこれらの人たちが社会的
な差別や迫害を受けている現状は何とかしなけばならないと思うが、娘や息子、
場合によっては妻や夫がLGBTであることをカミングアウトされた家族の対
応の難しさは、想像以上のものだろうと推察する。


▼今回のゲストは二人の女性であり、一人は娘にレズビアンであることを、も
う一人は息子にゲイであることをカミングアウトされた母親、OさんとSさん
である。Oさんは娘の告白以降、2年間もそのことを自身の内に秘めており、
かなりの葛藤があったことを語っておられたが、Sさんは高校生の息子に告白
されたあと、すぐに彼を理解しよう、精神的にサポートしようと行動を起こす。


▼Oさんの娘さんは大阪府議会議員として、日本で初めてレズビアンであるこ
とをカミングアウトした尾辻かな子さんである。
彼女は2003年に府議会議員に当選し、05年に、同性愛者であることを日
本の議員として初めてカミングアウト。07年の参議院選挙では民主党から国
政に打って出たが残念ながら落選した。


▼彼女は自身のサイト(http://www.otsuji-k.com/)で、カミングアウトの理
由を次のように述べている。「共に社会の中で生きている私たちの存在を、も
っと可視化する必要があると思ったからです。私自身、自分が同性愛者かもし
れないと気付いてから、自分はおかしいのかもしれないという自己否定と、自
分のような存在はたったひとりなのかもしれないという孤独感に何年も苦しん
できました。今も悩みの中にいる多くの仲間たちに、ひとりじゃないことを伝
えたい、そんな思いで、公表と同時に著書を出版しました」。


▼そして、カミングアウトした彼女のもとには、LGBTの人たちからいろん
な相談が寄せられるようになる。そこでぶつかったのが、日本社会や法律の厚
い壁だった。最愛のパートナーと死別しても、財産を相続できないどころか、
葬式に参列することさえままならない現実。外国籍の同性パートナーには日本
での滞在許可が与えられない現実。パートナーが同性の場合は、日本では何の
法的権利もない現実がある。


▼今回の遊学亭のゲストの一人、Sさんも息子の告白を受けて尾辻かな子さん
に会い、尾辻さんのお母さんとも出会う。そして三人は意気投合。「LGBT
の家族と友人をつなぐ会」を設立、07年にはNPO法人の認可を受けている。
当事者の市民活動団体はあっても、カミングアウトされた家族による団体は今
のところおそらく全国で唯一のものと思われる。遊学亭のチラシには次のよう
に書かれている。


▼「当事者からのカミングアウトを受けて、私たちは人間には多様な性(性的
指向や性自認)があることを知りました。この会はいまだに社会に存在するL
GBTへの偏見や差別をなくすために、そしてあらゆる人々がその多様性を認
め合える社会を作るために設立されました」。


▼活動の内容は、月一回の神戸と年数回の東京でのミーティングと、性に関す
る正しい知識を普及させるための講演会活動、また各地で行われるパレードな
どのイベントにも積極的に参加している。二人の関西のオカンはバイタリティ
と本当の意味でのインテリジェンスに溢れていた。米国のオバマ政権が今回出
したLGBT支援策(下記URL参照)に比べて、あまりにも日本の現状は遅
れている。(http://www.news.janjan.jp/world/0901/0901246098/1.php)こ
れからも、二人の関西のオカンの人権を守る闘いは続いていく。(thayama)