大川端だより(338)


今、遅ればせながら『反貧困−「すべり台社会」からの脱出』(湯浅誠著 岩波新書)を読んでいるが、自己責任論がいかに日本社会を蝕んでいるかがわかる。とくに、政府と官僚による“貧困隠し”こそまさに彼ら自身の自己責任の放棄である、との論旨に強く共感する。日本社会の貧困者についてのまともな調査もせず、日本の貧困は国際的に見て、まだまだ深刻ではないとし、手を拱いて、意識的に無策を貫いてきたのである。これは完全に憲法25条違反である。直ちに、交付金2兆円を貧困および弱者救済に向ける必要がある。そうでないと、年度末に向けてますます多くの人たちが路頭に迷うことになる。