大川端だより(471)


年内に新しい所に引っ越すことになり、事務所開設以来20年近くたったガラクタや本の整理でてんやわんやです。とくに本はものすごい量になり、江戸や俳諧関係の書籍など、値打ちのあるものも多いのですが、今度のところは事務所兼自宅となるので、半分以上は減らさなくてはなりません。


未読の『フロイス日本史』全十巻なども出てきました。これは、同書の帯によると、「信長や秀吉のなまなましい肉声から市井人の哀感に至るまでを同時代のキリシタンバテレンが心血を注いで描いた迫真の記録」とあり、処分するに忍びません。また、遠藤周作さんが次のように書いているのを読むとますます……。


フロイスの『日本史』の面白さは、私によれば二つある。一つは戦国時代の日本と日本人とが眼で見るように活写されていることだ。のみならず日本人であるわれわれも知らなかった思いがけないエピソードや裏面までがこの歴史家の記録で生き生きと伝わってくるのである。第二の面白さは、日本をはじめて知ったこの西欧知識人が、当時の日本をいかに観たかがはっきりわかるからである。」


あなたはこの全書を、置き場所がないとか、どうせ読まないのだから……といった理由で、一顧だにせず処分することができますか? ぼくはそんな人とは付き合いたくありません(笑)。さて、どうするか……。