大川端だより(437)


故あって白湯を飲んでいます。


白湯は「さゆ」と読みます。沸かしただけで何も入れないお湯のことです。最近あまり使わなくなった言葉のような気がします。死語とまでは言わないけれど、人間は白湯を飲む機会が少なくなりました。薬を飲むときぐらいかな…。


でも、日本や韓国の古い時代の小説を読むと、客に白湯を出す場面が時どき出てきます。お茶やコーヒーではなく、ただの温かいお湯によって客をもてなすのです。白湯だって燃料費という費用が掛かっているのですから、人びとが貧しかった時代にはただの水よりはゼータクなものだったのでしょう。


「何にします。お茶、紅茶、コーヒー? ココアだってありますよ。なんならペリエにでもしましょうか?」


みんなが貧しかった時代の人たちが聞いたら、卒倒するかもしれません。


B・B・キングとエリック・クラプトンの「RIDING WITH THE KING」を聴きながら、「白湯」について考えています。ブルーズと白湯は合いますね。