大川端だより(433)


最近、よく古い名画のDVDを買う。事務所近くのOAP(大阪ビジネスパーク)の2階に西日本書店があり、そこで1本500円という格安の名作映画のコレクションが販売されているからだ。


昔は西部劇が好きだったので、映画館で見逃していたジョン・ウエイン主演の「駅馬車」やゲリー・クーパー主演の「平原児」などを買い求めてパソコンやテレビで見ているのだが、戦前に作られたものは今見ると、アメリカ白人イデオロギーが強すぎてあまり面白くないと感じることが多い。


しかし、最近入手したジョン・ギラーミン監督の「デッド・オア・アライブ」(1981年)というクリス・クリストファーソン主演の作品は元々はテレビ用に製作された映画だったようだが、いかにも西部劇という感じで、かなりの名作だと思った。


監督のジョン・ギラーミンJohn Guillermin,1925年11月11日 )は、イギリスのロンドン出身で、ウィキペディアによると、「キャリアの大部分はアクションアドベンチャー大作の制作に携わり、特に1950年代終盤から1970年代にかけては数々の話題作を手がけた。1980年代以降は話題作に従事する機会が減り、低予算映画やテレビ映画といった作品の監督をつとめるようになっていった」とある。


つまり、「デッド・オア・アライブ」は、彼が80年以降に作ったテレビ映画だったのだが、DVD化されて、古い名作西部劇と同じように販売されているということは、この作品を名作の一つと見なしている人たちが存在するということであろう。


題名からも分かるように、これは逃走する脱獄者を3人の保安官が追跡する、という内容である。その中に、牧場を経営する無骨なクリストファーソンと、東部の大学で法律を学んだインテリ息子の父子の葛藤、そして男子の精神的な成長の物語という物語の骨格がある。


ぼくはとても感心しながら3回ほど見たのだが、ブログなどではほとんど言及されておらず、されていてもあまり良い批評がなく、「君らの目は節穴か…」と思わず呟いてしまった。おそらく最近のハリウッド映画の大スペクタクルを見慣れていると、感覚器官に訴える派手でエキサイティングな映像にしか反応しなくなるのかもしれない。


ギラーミン監督の作品にはぼくも映画館で見た「タワーリング・インフェルノ」(これは駄作)のほかいかにものハリウッド映画も多いが、このテレビ映画は彼が作りたいように作った、渾身の作品のようにぼくには感じられた。ぜひ、DVDを入手してご覧になることをお奨めする。


■ジョン・ギラーミンの主要作品

ターザンの決闘 - Tarzan's Greatest Adventure (1959年、監督・脚本)

ターザンと猛獣の怒り - Tarzan Goes to India (1962年、監督・脚本)

ワルツ・オブ・ザ・トレアドールズ - The Waltz of the Toreadors (1962年、監督)

ブルー・マックス - The Blue Max (1966年、監督)

レマゲン鉄橋 - The Bridge at Remagen (1969年、監督)

タワーリング・インフェルノ - The Towering Inferno (1974年、監督)

キングコング - King Kong (1976年、監督)

ナイル殺人事件 - Death on the Nile (1978年、監督)

キングコング2 - King Kong Lives (1986年、監督)ほか多数。