大川端だより(422)


この前、と言っても正月のことだけど、叔母の家で世間話をしていて、二人(85歳と80歳)ともピザを食べたことがない、ということが分かった。新聞広告は入るし、テレビCFも派手なのをやるので、その存在は知っていて、一度は食べてみたい…と思うらしいのだが、いかんせん注文の仕方が分からないという。いや、電話で注文すればいいことは分かっているのだが、一歩踏み出す勇気が湧いてこないのだ。


なるほど、ピッツアというイタリア発祥の食品がこれほど日本に根付いたのはそんなに昔のことではないから、叔母たちが現役のころには日本の庶民が手軽に食せるようなものではなかったのだ。その話を聞いて、いろんなことを考えた。まずこれは、いわゆるチャンス・ロスというやつである。潜在的な顧客がいるのに、そこまで商品が届かない。どうすればいいのか? これは企業にとってよく考えなければならない問題だろう。


電話で注文するのを躊躇するのは、電話で相手が出た時に、いろいろ商品に対する知識がないし、何とかデラックスとか何々セットと言われても何のことかよく分からないし…、と思うのだろう。明らかに食べてみたい、と思っている人に商品を届けられないのは、顧客が悪いのではなく、企業のほうが悪い。おそらくこのような潜在的なニーズがあることに気づいていないのだろうが、ファックスで注文できるようにするなど、何か良い方法を考えるべきだと思う。


潜在的ニーズ、ということで言うと、昨夜参加したインターネット関連の講演会で面白い話を聞いた。ある女性下着屋さんがHPを作ってネットビジネスに乗り出したが、全く売れなかったそうだ。しかし、実際の店舗販売では、約一割の男性顧客がいることに注目して、男性客向けの女性下着専門サイトを作ったら、ものすごく売れ出したというのだ。このことは、いかに男性の女性下着愛好家(!)が多いか、ということでもあるし、バレンタインチョコなどのお返しやプレゼントに下着をおくる男性がかなりの数いるということである。いわゆるニッチというやつだが、こいつを見つけると、かなり良いビジネスになることは間違いない。ピザ屋も頑張れよ。