大川端だより(416)


この辺りは、数年前までは食品スーパー不毛の地だったのだが、3年ぐらい前に南森町町交差点の南東角にコーヨーができ、昨年暮れに天神橋筋商店街4丁目にスーパー玉出ができて、すでにあった阪急ファミリーストアダイエー系のグルメシティを加えて、天ニ・天三・天四の周囲2キロ四方ぐらいに4軒の店ができて便利になった。天六・天七まで行くとまたいくつかスーパーがあるが、ちょっと遠いのでね。


天神橋筋商店街は、ずっと昔は知らないが、ぼくらが事務所を構えた十数年前からあまり生鮮食料品店が無かったので、今はずいぶん便利になった。食品スーパーが増えてから、商店街の中にもいくつか安い八百屋ができたのもうれしい。有機野菜を専門に扱っているような見せもある。しかし精肉、鮮魚の店は天満市場までいかなとない。


天満市場は天五のJR天満駅から歩いて5分もあれば着くので、事務所からでも自転車で10分程の距離である。最近は、自転車で天満市場まで行くことも多い。なぜならやはりスーパーと比べると圧倒的に安いからである。たとえばミカンなんか、スーパーだと一袋3百円程度するものが、天満市場なら量が倍あって2百円だったりする。


それでも近くに食品スーパーが4つあると、それぞれの特長があるので、食材ごとに店を選べるから嬉しい。全体的に安いのはスーパー玉出だろうが、この安売り店からいちばん近い阪急ファミリーストアも値段では負けているが、パンや野菜の新鮮さで頑張っており、一時は客を奪われるだろうと思っていたが、結構繁盛している。


事務所からいちばん近いクルメシティも小さくて小汚い店だったが、リニューアルして小奇麗になり、プライベートブランドの激安ビールなどで頑張っている。ぼくがいちばんよく行くのはこの店で、やはり酒類とPB商品が安いのが気に入っている。なんといっても韓国産のけっこう旨いロング缶ビールが125円なのである。自転車だと3〜5分で行ける。


しかし、4点の中でいちばん繁盛しているのは東興ホテルの道路を挟んだ東向かいにあるコーヨーだろう。ホタルに泊まっている外国人や近くのデザイン事務所などの人たち、また地下鉄南森町駅の入口の至近距離なので、勤め帰りのOLやサラリーマンでいつもごった返している。元来は鮮魚店だったようで、魚は新鮮だと思う。また最近この店をぼくが気に入っているのはペリエの大瓶(750ml)が250円ほどで売っていることである。いま酒を控えているので、フランス産の天然発泡ミネラルウォーターが安いのは嬉しい。


ペリエは二十歳代にフランスを旅行した時に、レストランでワインを飲まない人がほとんどペリエを頼んでおり、なんであんな味もなにもない発泡水を飲むんだろう、と思っていたが、この歳になり酒を控えていると、食事時にしてもふだんの飲料水としてもペリエは最も好ましい。『海辺のカフカ』で甲村記念図書館の青年スタッフ大島さんも飲んでいたしね。


彼は実は女性で、性同一性障害なのだ。ある日、フェミニストNPO団体の覆面調査員(女性二人)が図書館のトイレが女性専用でないことに対して抗議、改善要求をしたとき、いろいろと反論するのだが、それでも納得しない調査員に対して、最後に自分が女性であることをカミングアウトする。そして、小さな私立の専門図書館では経費の点でも改善はムリだし、女性来館者もそんなに困っていないことを理由に調査員を撃退する。理不尽な思想警察のような調査に対して、ちょっと胸のすくようなエピソードである。