大川端だより(411)


昨日のクリスマス・イブは、昼ごろ姪が訪ねてきたので、当日券を買って一緒に繁昌亭の昼席(13時〜16時)を見た。そのあと、天神橋の真ん中にある中之島への螺旋階段を下り、御堂筋へ出るコースでイルミネーションを観賞。


繁昌亭で落語を見るのは初めてだったが、中入りまでの6人とその後の4人の芸の差が顕著なのには驚いた。観客は7分ぐらいの入りで、おばさんたちが多いなか、最初は眠気もして、周りを見てもウトウトしている人もあったが、中入り後の講談の旭堂南海さんから俄然みんなの目がパッチリ。それぞれの話芸に引き込まれていった。


とりわけぼくが驚嘆したのが中入り後二人目の露の新治という噺家さんの話芸だった。テレビなどではあまり見かけない顔だが、とくに女人を演じるときの艶っぽさは賞賛に値する。昔の貸本屋の噺「紙入れ」で、得意先の奥さんとの浮気が旦那にバレそうになるというストーリーだったが、そのスリリングな噺の展開と、貸本屋、お内儀、旦那さん3人の演じ分けが素晴らしかった。(「紙入れ」のストーリーは次のURLをご参照ください。マクラは全然違いますが…。http://homepage3.nifty.com/rakugo/kamigata/rakug345.htm


おそらく新治さん本人もその日の出来には満足だったのだろう。高座を去るときの、自信に満ちた笑顔が印象的だった。当日券2500円は、この一席を見ただけでも値打ちがあった。


露の新治のホームページ(http://park1.aeonnet.ne.jp/~sinjikai/top.html)のプロフィールを見ると、1951年、生野区生まれ、75年入門とあるから、もう還暦間近の大ベテランである。夜間中学運動に携わったり、人権落語をやったりしているという。落語家のHPに日本国憲法第九条が掲載されているというのも意表をつく。ぜひいつかウォロの「この人に」欄に登場してもらいたいと思った。