大川端だより(394)


季節の変遷を感じるのは、もちろん地上の木や草の様子もあるが、空模様の違いが大きい。今年は梅雨が長く、いつまでも曇天が続いていたが、8月に入った途端、空に真っ白い夏雲が現れた。スーパー大辞林によると、夏雲とは「夏の空に立つ雲。太平洋高気圧におおわれた暑い日の積雲や積乱雲など。」となっているが季語ではないようだ。否。電子辞書の歳時記を見ると、やはり「夏雲」もしくは「夏の雲」で出ている。例句として、高柳重信の「犬抱けば犬の眼にある夏の雲」や飯田蛇笏の「夏雲むるるこの峡中に死ぬるかな」などが載っていた。蛇笏の句の「むるる」は「群るる」なのか「蒸るる」なのか? 「群るる」だと思うが、「蒸るる」でも面白いなあ…と思った。