大川端だより(388)


こんど静岡県知事に当選した川勝平太さんには一回だけインタビューしたことがある。ある県の広報誌の仕事で、江戸時代についていろいろお話を伺ったのだが、とにかく言葉が滔々とほとばしり出る感じだった。確か千里のホテルの喫茶室か何かでの取材だったと思うのだが、そのダンディーな風貌と言葉の奔流には圧倒された。


いまその記事を読み返してみると、なかなか示唆されるところの多い内容で、ぼくが「鎖国というのは非常に良くできたリサイクルシステムですね」と言うと、次ぎの様に応えられた。


「その通りで、限られた資源、限られた領土の中でどういうふうに土地と資源を生かすかというシステムだったのです。もう一つ付け加えると、他国を侵略しないシステムです。軍事行動をしない代わりに経世済民(世を治め、民を救うこと)しなければいけないという発想になる。武士の仕事は、天下泰平を維持することだった。そこから『経営』の観念が生まれます」


またインタビューの最後のほうで、「これから重要になのはチャーム(魅力)です。パワー(暴力、権力)は押し付ける力ですが、魅力はひきつける力です。暴力ではなく、魅力と感動によって人々に影響を与える時代が到来しています。」と言っておられる。このような考え方が静岡県政に生かされることを切に願って止まない。