大川端だより(385)


フォトジャーナリストの広河隆一さんが発行する「DAYS JAPAN」という雑誌がある。世界中の紛争地帯や災害地からの生々しい写真が掲載されている。コンセプトは「一枚の写真が国家が動かすこともある」。この雑誌は、マスメディアがほとんど報道しない、弱い人たちの立場に立った目線で、隠されている事実を暴き出す。最新号(7月号)では、「『敵』の姿 ソマリアタリバン」という特集で、日本のメディアがあまり報じない現地の情報をアクチュアルな写真とともに掲載している。


イラクに関しては、ヘッドラインで、「日本大使一行襲撃 警護の米兵1人死亡 政府は極秘に」と書き、リードでは、「5月中旬、首都バクダットから100キロの位置にあるラマディで、駐イラク日本大使一行が襲撃されるという事件が起こった。本来なら重大な国際問題としてメディアいっせいに取り上げるはずの事件だが、日本のメディアも外務省も完全な沈黙を守っている。イラク、米軍、そして日本をめぐって何が起っているのか」と疑問を呈している。中身を読むと、ラマディという町は、米軍による大量殺戮があったところで、その町にある県庁に日本大使が訪れ、テロを生む原因となっている失業問題について話し合った、ということである。つまり日本側としては、イラクの失業問題を解決するための支援を考えていたのだろうが、いかんせん、米軍車両に守られての訪問は地元過激派の敵意を生み襲撃にあった、ということなのだ。外務省がこの事件を伏せるのは、日米一体のイラク政策が報道されるのが都合が悪いからだろうが、一人の米兵とイラク人のボディガード一人、計二名の人間が殺されているのに、それでも事件を伏せるというのは、本当に姑息なやり方である。


ソマリアについても、海賊から日本の船を守るための自衛隊派兵と言うが、「海賊」の実態たるや実は自分たちの漁場を荒らされて生活が立ち行かなくなった地元の貧困な漁民たちなのだ。ソマリア中央政府が機能しておらず、国内が全く酷い状態なのだから、人々の生活支援をすることによって、貧困を撲滅する自助努力を支援するほうが効果的だと思うのだが、「『海賊』から日本人を守る」という大儀名分をかかげて、日本人の自衛隊海外派兵アレルギーを緩和することのほうが大事なのだ。


何にしても、日本の外務省とマスコミは信用できないので、ぜひ「DAYS JAPAN」を定期購読して、世界の実情を垣間見ることが必要だと思う。次のURL:http://www.daysjapan.net/よりお申込みください。