大川端だより(384)


6月20日に発行した「市民ライター通信」に下記の記事を書きました。前日19日には『丸腰国家』の著者、足立さんの講演会が梅田であり、それにも参加しました。50〜60人程度の入りでした。彼は、どこにも属さずフリーでコスタリカのツアーを企画したり、「軍隊のない国」についての講演をしておられ、軍事産業があるなら、平和を促進するためのビジネスがあってもいいのでは…というコンセプトで、今のような活動をしているそうです。まだ、確か36歳と言っていたと思いますが、バンクーバーにもいたことがあるそうですし、大阪でシステムエンジニアをしていたこともあるそうです。大学も立命ということですから、関西には馴染みがあるので、ぜひいろんな市民団体の方は、きちんと講師料が発生するようなイベントや講演会にに招請されてはいかがでしょう。ぼくらも何かの講座でぜひ呼びたいと思っています。絶対に聴く価値のある講演ですよ。


それから、ボリビア在住のS君、ぜひ南米赴任中に一度、コスタリカにも行ってみてください。もしよかったら、『丸腰国家〜軍隊を放棄したコスタリカ 60年の平和戦略〜』を送りますよ。また、昨日法事で会ったわかちゃん、さっちゃんのブログ「めっちゃいいやん」のアドレスは、下記のとおりです。


http://meyameya.at.webry.info/200903/article_3.html


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■【1】 論・RON・ロン ☆彡
□       ◆ 背筋の真っ直ぐなコスタリカの市民たち ◆      
■                           ★彡☆★
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by thayama


『丸腰国家〜軍隊を放棄したコスタリカ 60年の平和戦略』(足立力也著
扶桑社新書)を読んでもっとも感心したのは、第五章の「コスタリカ人とはい
かなる人たちか?」である。とくに一つのエピソードが気に入った。


2001年の9・11テロのあと、アメリカのブッシュ大統領は「対テロ戦争」を宣言
し、アフガニスタンを爆撃。2003年3月にはイラク侵攻を開始した。その際、
アメリカはイラク攻撃に賛成する33か国のリストを公表。日本の小泉首相(当
時)はいち早く記者会見で、「アメリカの武力行使を理解し、支持します」と表
明。コスタリカアベルパチェコ大統領もイラク攻撃に賛同し、33か国のリ
ストに載る。


ところがコスタリカの市民は黙ってはいなかった。マスメディアも大統領を批
判し、政府寄りの新聞さえ、「何と恥知らずな大統領」との大見出しを掲げた
という。街では大デモが繰り広げられ、各種世論調査でも、90%以上が大統領
のとった米国支持政策を糾弾した。しかし、パチェコ大統領は自らの考えを変
えなかった。


すると、何人かのコスタリカ市民は、大統領と外務大臣を相手に違憲訴訟を起
こしたのである。その中の一人、コスタリカ大学法学部のロベルト・サラモと
いう学生は、第一報を聞いてすぐに最高裁判所の小法廷に提訴する。その理由
を訊ねた著者に対して、ロベルトくんは「だって、おかしいものはおかしいと
言うのが当たり前じゃないの?」と答えたという(180p)。彼は自分一人で訴
状を認め、弁護も自分で行なった。そして1年あまりの審議を経て、結果は、
7人の判事が全員一致で「違憲」の判決を下す。


彼以外にも、例えば、住民援護局のホセ・マヌエル・エチャンディ長官が行政
職でありながら、大統領を訴える。その理由として、「公職にあったからこそ
裁判を起こしたんですよ」、「コスタリカの住民を守る役割を担う住民援護局
長としては、憲法に違反した大統領と外相の行為を訴追する義務があると考え
たのです」という。それにしても、彼らの平和志向は一本筋が通っている。


ひるがえって、当時の日本社会の状況を省みると、ぼくを含めて多くの市民は
内心、小泉首相の素早い武力行使支持表明に違和感を覚えてはいたが、なんら
反戦の意思表示をしたり行動をせず、結果的に日本社会全体として小泉首相
ブッシュ大統領支持にお墨付きを与えてしまった。コスタリカ市民と同国メデ
ィアのラディカルな意思表示と行動は、ぼくら日本の腰抜け市民にとって大い
なる反省を促すものである。