大川端だより(372)


日曜日の、やしきたかじんの「そこまでいって委員会」にホリエモンが出ていた。かなり太っていた。誰か(ざこば師匠?)が「どこまで行くつもりやったん」と訊いたとき、彼は「とにかく大きなことがやりたかったので、明確な目標などなかった。行き着いた時点で、また次のことを考える、というような感じでした」という意味の発言をしていた。企業買収ということで言えば、録画していたわけではないので不正確かもしれないが、「ソニーを買収して、グーグル(マイクロソフト?)のような企業にしたかった」というようなことも言っていたような気がする。


午後3時にその番組が終わって、書店へ行き、新潮新書を2冊買った。『ネコ型社員の時代〜自己実現幻想を超えて』(山本直人著)と『あの戦争は何だったのか〜大人のための歴史教科書』(保坂正康著)である。二冊ともとても面白く、後者はもちろんアジア太平洋戦争のことについてなのだが、日本の軍部はホリエモンと同じで、明確な戦争目的も戦略を持たず、ただ闇雲に出兵し、まったく戦争の終結時点も終結策も持っていなかったことが分かる。ぼくらは若いころ反戦運動をしていたが、旧日本軍や先の戦争については何も知らなかったことがこの本を読むとよくわかる。


例えば、戦争が始まった時点で日本の軍人兵士の数は380万人いたのだが、敗戦の前年、昭和19年にはそれが800万人に膨れ上がっていたとか、「中隊」「連隊」「師団」の違いとか、いろんなことが学べる、とてもコンパクトな太平洋戦争小事典のような趣である。ぼくら戦後世代は、詳しいことをまったく教えられなかったこともあるが、戦争や軍隊について見るのも触れるのもイヤ、といった風潮があるが、やっぱり基本的な事実は押さえておく必要があると思う。