大川端だより(348)


写真の二人は吉本の同期だと思うが、完全にさんまは島田紳助に大きく水を明けられた感じがする。ついこの間までは、お笑いの三巨頭と言えばさんま、タモリ、たけしであり、紳助は意識的に二番手戦略をとっていたのだが、あれよあれよという間に、二番手がトップに躍り出た。思えば、紳助が東京進出を果たしたのは、政治討論番組のサンデープロジェクトで司会をしたとき辺りだったと思うが、あの時は田原総一朗の突然のフリにちょっとオタオタしていた感じがあった。


しかし今では、「何でも鑑定団」や「行列の出る法律事務所」など、新しいジャンルのバラエティにおいて、どうどうとしたMCぶりである。「鑑定団」ではあの大物俳優、石坂を従えている感じさえする。また、おバカ男性トリオ「羞恥心」のプロデュースと作詞など、お笑いの世界を足場にどんどん新しい分野に活躍の場を広げている。


それにたいしてさんまは、もはやあのスタイルのマンネリ化はどうしようもなく、果敢に新分野にチャレンジしてきた紳助に差をつけられてしまった。自分のスタイルに固執しているのか、それとも新分野に出て行く勇気がないのか、このまま行くと、さんまはかつての萩原欣一のように突然、テレビからその姿が消える、とまでは言わないが、出番が徐々に減っていくような気がする。それでも、たけしのように映画監督などで才能を発揮するならよいが、いつまでもさんま流の笑いに固執していては先行きは目に見えている。


さんまは、俳優としていいものを持っているように思うので、映画界に進出して、プロデューサーも兼ねて新しい感覚の喜劇に挑戦してもらいたいと思う。彼は監督よりプロデューサー業が向いているように思うのだが、あの出たがり癖と自己愛が禍して、なかなか裏方には回り切れないところがある。これから2〜3年後のお笑い業界はどのような勢力図になっているのだろう。ぼくは「爆笑問題」太田総理の知的マニアックぶりを偏愛しているのだが、彼もどんな道を歩んでいくのか、とても興味がある。大田にしても紳助にしても、さんまにはない知性を感じさせる。しかし、さんまはあんまり本を読むイメージではない。今日はエラソーなことを書いてしまった。(文中敬称略)