大川端だより(343)


オバマの就任式に出ていたブッシュ前大統領の悪びれない態度は印象的だった。米兵死者数4,000人と、100,000人近いイラクの民間人の死者数(Iraq Body Countによる)を出した戦争を起こし、その上クリントン時代の財政黒字を大幅な赤字に変えてしまった。おそらく彼は、米国史上“最悪”の大統領の一人だろうに、あの悪びれない態度は、自分がしたことの罪の大きさをまったく分かっていないどころか、「失敗もしたけど、それは自分にもたらされた情報が誤まっていたからで、良いこともした」と本気で思っているのだろう。本来なら死刑に値することをしておいて、権力者というものは実に度し難いものである。


話はコロッと変わるが、オバマは黒人初の大統領だそうだが、白人の母と黒人の父から生まれた子どもはどうして「黒人」とされるのだろう。本当はハーフもしくはダブル、つまり混血であり、“純粋の黒人”ではないはずだ。オバマの母親にしたら、自分のアイデンティティが度外視されたと感じるのではないだろうか。もちろん科学的には白人とか黒人という概念は疑わしいものだが、いくら差別の歴史があるとはいえ、新大統領の場合、あまりにも“黒人”が前面に出すぎているような気がする。本当はそんなことはどうでもいいはずである。