大川端だより(340)


きのうの日曜日(18日)、第17回目の「市民活動サロン 遊学亭」がONPで午後2時から開催された。これは市民活動の現場からいろんな人たちを招いて話を聞き、ディスカッションするもので、ほぼ2ヶ月に1回の割合で行なっている。運営チームにぼくも入っているのだが、開始の前にチーム会議を行い、今度どうするか検討した。そのときに思ったのだが、17回もやって1回もテープをとっていなことにみな反省しきりだった。


というのは、毎回、NPO、市民活動の現場で何が起こっているのか、活動に従事しているリーダーが語ってくれる、という内容の濃さは本当に貴重なものだからである。毎回3時間もたっぷりかけて、ある活動について語られ、質疑応答が行なわれ、ディスカッションが進行するわけだから、その内容を社会に向かって開示してくるべきだったと思う。もちろんボラ協のホームページを通じて500字程度の短いレポートは載せているのだが、とてもその文字数では伝えられないほど毎回内容が充実している。


ところで、昨日の遊学亭はいつもと少し様子が違っていた。ゲストは「映像発信てれれ」のSさんで、亭主がボラ協の映像グループ「トライポッド」のOさんだったので、レクチャーのようなものはなく、すべてワークショップ形式で行なわれた。21人の参加者が全員、紙片を配られるのだが、それにはあるシチュエーションが書いてある。ビデオカメラの前で簡単な演技をする。科白はみんな「あ」だけ。つまり、「犬のウンコを踏んだ時の『あ』」とか「生返事の『あ』」とか「競馬で負けたときの『あ』」だったりするわけだ。


その後、自己紹介に移り、ビデオで自分の「あ」の演技を見ながら、それがどういうシチュエーションの「あ」だったか説明していく。照れくさそうに「あ」と小さく言う人もいれば、過剰な演技にともなう「あ」もあった。自己紹介のあとはちょっと休憩を挟んで2つ目のワークショップをした。これは、いくつかの映画のある場面を音声をオフにしてみながらアフレコを入れていくというもの。3グループに分かれて、30分でアフレコを仕上げるのはかなり難しいと思ったが、やってみるとどのグループもおもしろい作品に仕上げていた。


今回の遊学亭のポイントは「表現」ということ。Sさんによれば、素人でも、どんなやり方でもいいから、みんなでもっといろんな表現しよう!ということである。それも、一人でやるのではなく、みんなで表現することによって、「融合のマジック」が起こるのがおもしろいのだ。「融合のマジック」という言葉は、ロッキング・オン渋谷陽一さんがなにかの雑誌に書いていたものだが、確か、レノン・マッカートニーの数々の名曲についての発言のなかで出てきた言葉である。とてもいいフレーズなので、講演などでよく使わせてもらっている。