大川端だより(328)


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 「市民自治を学ぶ」連続講座を終えて


団塊アクションネットワーク主催の「市民自治を学ぶ」5回連続講座の最終
回が12月13日(土)に行われた。講師は(特活)NPO政策研究所理事長の直
田春夫さん。「市民自治のこれから」と題して、たくさんの各地の自治的な活
動事例を紹介していただいた。


▼第1回目の「市民自治とは」(講師:中川幾郎氏・帝塚山大学教授)、第2
回目「自治会は変革する」(講師:絹川正明氏・神戸市竹の台1丁目自治会長)
第3回目「まちを元気にする住民のネットワーク」(講師:赤井直氏・千里市
民フォーラム会長)、第4回目「市民自治と住民参加」(講師:相川康子氏・
神戸大学準教授)と過去4回の講座の締めくくりにふさわしい内容だった。


▼今回の講座は、各回とも30人以上の参加者があり、おまけに市民活動関係
者だけではなく、行政関係者、議員、自治会・町会関係者、地域開発コンサル
タント、教師など、「市民自治」に関心を持つ多種多様な人々が参加してくだ
さった。地域では、市民と行政、旧来の自治会と新しいNPO・市民活動、議
会と市民や行政の間に軋轢がある、という話をよく耳にするが、これだけの人
たちが今回の講座に集まってくれたということは、みんな地域を何とかしなけ
ればならない、という問題意識を持っているのだ、と改めて確信した。


▼また、2回目の絹川さんの自治会改革や3回目の赤井さんの地域のネットワ
ーク形成の具体的な例とともに、最終回の直田さんに教えていただいた日本各
地のたくさんの自治的な活動の例を知って、“限界集落”などと呼ばれる地域
でも、いろんな創造的な活動が行われていることに希望を抱いた。


▼日本各地で、今や新しい民主主義の模索が始まっているのではないか。税金
を払っているのだから、あとは行政が効率的にやってくれればいいとか、選挙
で1票を投じて首長や議員を選んだんだから、後は任せた……といった“お任
せ民主主義”ではなく、“直接参画型の民主主義”を求めているのだと思う。


▼その理由を考えてみると、やはり大きいのは社会の構造的な転換であろう。
発展途上社会から成熟社会へ、経済の右肩上がりから右肩下がりへ、人口増加
から人口減少へ、青・壮年中心社会から高齢社会へ、といった変化が税金を払
って選挙で投票すれば、それで市民は責任を果たしたことになる、といった時
代を変えつつあるのだろうと思う。そのことを市民的な本能で感じ取っている
からこそ、「市民自治」への関心が高まりつつある。


▼先ほどぼくは「新しい民主主義の模索」という言葉を使ったが、還元すれば、
それは「民主主義の原点への回帰」とも言えるのではないか。地域の経営をそ
こに住む住民自身が、行政や議会と協働しながら担っていくこと。地域の全て
のポテンシャルを総動員して地域経営に当たらない限り、課題解決はできない。


▼本年9月15日に起きたリーマンショックに端を発した世界的な不況が急速
に悪化しており、日本の90年代の「失われた10年」と同じような事態がグ
ローバルに進行するのではないか、との観測もある。そんななか、もはや市民
は、他人(国・行政、企業)任せにはできないと思い、地域自治の重要な担い
手にならざるを得ないのである。


▼昨日「サンデープロジェクト」を見ていて「地方議会」の特集をやっていた
が、その中で、「合併しない宣言」や「もったいない図書館」で名を馳せた矢
祭町の新しい試みについてレポートしていた。町議会が自ら議員報酬を日当制
(日額3万円)にすることを決定したという。もとは年俸330万円だったの
を日当制にすると、年間90万円になるらしい。


▼これではもちろん生活はできないから、議会活動というのは一種の有償ボラ
ンティアになるということである。こんなことが地方議会で起こるなんて、だ
れが予測できただろう。「これでは議員活動ができない」とか「立候補する人
が出てこなくなる」などと反対した議員もいたようだが、選挙が行われ3人も
新人が出て3人とも通ったらしい。世の中は確実に変わりつつあるようだ。
   (thayama)