大川端だより(308)


中之島公園猫対策協議会」の猫ハウスに取材に行って来た。ボランティアの一人にぼくが専門学校で教えていた頃の教え子がいて、「いっぺん見に来て」と言われていたからだ。もし面白い活動だったら、ウォロで取り上げてみたい、という思惑もあった。ことの起こりを同協議会のホームページ(http://www012.upp.so-net.ne.jp/nekomat/)を参考にまとめると以下のようなことだ。


平成19年11月1日に始まった中之島公園の再整備工事のため、50匹以上の猫が公園内に取り残されてしまった。取り残された猫たちは、ねぐらを壊され、進入禁止になったため、それまで猫好きの人たちに貰っていたエサをもらうこともできず、飢えと寒さに生命をおびやかされることとなった。


当初、猫を救いたいと考え、インターネットなどで行政の対応に抗議する人たちが増え、猫の保護を訴えても、最初は行政の態度は冷たく見え、取り残された猫を保護することも、ボランティアが給餌のために公園内に立入ることも認めなかった。しかし、粘り強く話し合いを続けた結果、公園側も猫を殺処分したいわけではなく、猫たちをボランティアが保護することに同意した。簡易猫ハウスも公園側が建て 現在では、ほぼ全ての猫を保護し、里親募集をしている段階である。


この活動は、非常に興味深い民公協働による野良猫対策であると思う。公園の猫というのは、住宅街の猫とは若干違う。中之島公園はオフィス街のど真ん中にあるので、昼休みなどに公園で弁当を食べる人も多く、またエサやりボランティアもたくさんいるので、食べるものにはあまり不自由せず、中には丸々と太ったノラちゃんもいる。ただ、増えすぎると困るので、ボランティアが保護して去勢・不妊手術を施してやる必要がある。


この活動でもう一つ面白いのは、ほとんどお金を使わず、労力提供で維持しているということである。エサや猫砂はホームページやブログで募り、世の猫好きに提供してもらい、数十匹の猫たちを安全に保護している。手術代も動物愛護団体や獣医師が肩代わりしてくれた部分も多かった。もちろん、里親を申し出てくれた人に猫を届けるときの車のガソリン代や交通費などは自分たちで出すので、まったくの出費ゼロ〇というわけではないが、思ったよりお金をかけていない。猫を入れておくケージも行政が以前野犬対策か何かで使っていたものを交渉して譲り受けている。


前述した元教え子は、この方式(民主導による公との協働+経費節減)を中之島だけではなく全ての公園の猫対策に広げたい、という“野望”を語っていた。これからの時代は、“右肩下がり”で潤沢な税収入など望むべくもないから、市民主導で社会的課題の解決を図らなければならない。そのときにボランタリーな市民のアイデアとアクションがなければ、物事は進まない。また、市民がどんどん行政に企画を提案していく必要がある。それが真っ当なもので経費削減につながるなら、行政もその企画を受けざるを得ないはずだ。