大川端だより(286)


朝の十時から滋賀県の県民交流センターにおいてライティングのセミナー。昼の休憩1時間を挟んで午後4時まで5時間という長丁場だったが、結局3時間以上自分が喋っていた。喋りすぎたかもしれない(…と、ちょっと反省)。


ワークショップでは、2時間弱をグループ・リライティング・ワークに当てる。読みにくい、違う文体の三つの文章をまず各自で30分間でリライトしてもらい、もう30分でグループ討論をやり、1グループ1文ずつ、模造紙にリライティングした文章を書いてもらう。それをホワイトボードにとめて一つひとつ解説をした。皆さん熱心でリライトのできもよく、なかなか気持ちの良いセミナーだった。下記はそのレジュメです。


■市民活動・NPOのためのスキルアップ講座シリーズ(その1)

AT 県民交流センター(滋賀県大津市080126SAT・吐山)

「書く力をつける!〜情報誌・会報づくりのイロハから記事の書き方まで〜」


■市民が「書く」ことの意味


(0)「言葉とは何だろう?」
 ・人間とは言葉である
 ・自然は繋がっている
 ・言葉は自然を切り分ける(概念化)
 ・命名によって「存在」が成立する


(1)「インターネットが無数の“書き手”を生んだ」
・ホームページ、メールマガジン、ブログなど、デジタルメディアの隆盛
・人間は誰でも自己表現欲を持っている
・他人に聞いてもらいたい“自分のこと”
・デジタルメディアは市民的なメディア
・インターネットで個人新聞社、個人雑誌社、テレビ局さえをつくれる


(2)インターネット時代のメディアの特徴
・PメディアとDメディアの混在
 ・どこからでも、誰からでも届くインターネット
 ・他メディアへの改変が容易なデジタル


(3)「市民ライター養成講座」のこと
・大阪ボランティア協会の参加システム
・市民活動総合情報誌『Volo(ウォロ)』
・市民ライター養成講座の企画と開講
メールマガジン「市民ライター通信」


(4)「なぜ今、“市民ライター”なのか?」
・市民活動、市民セクターの台頭
・世界中で起こっているNPO・NGO革命
・すべては「書くこと」から始まる
・書くことによって論理を詰める
・「市民としてのスタイル」をつくろう
・「市民ライター」って何だろう
 ・市民ライターはデジタルライター


■コミュニケーションの手段としてのメディア


(5)「広報」から「コミュニケーション」へ
・「広報」と「広告」の違い
・一方通行の“広報”から双方向のコミュニケーションへ
・「コミュニケーションは受け手が完成させる」という原則
・コミュニケーションはメディア・ミックスによって行われる
・インターネットによる市民創出メディア(CCM)の隆盛
・既存のマスメディアと市民創出メディア


(6)NPOにとって広報は営業である
・「コーポレート・コミュニケーション」という考え方
NPOの商品はミッション(使命)
NPOは「広報」によって営業する
 ・広報担当者・情報担当者から全員広報へ
・広報もまた、「書くこと」から始まる


■企画・取材・編集・執筆


(7)企画とは「新しさの設計」である
・既存の要素、異質の要素の新しい組み合わせ
 ・企画の核にはアイデアが必要


(8)取材の実際
・取材ノートのとり方
・テープレコーダーの取り扱い
・相手の目を見て興味深げに聴く


(9)編集
 ・材料を集めて、読者が興味を持ってわかり易く読めるように並べること
 ・材料は、原稿、写真、図表、カット、イラストなど
 ・「学ぶ」は「真似ぶ」、良いデザインを真似ること


(10)執筆:「市民ライター文章十則」

一.読者の立場に立って書くこと

二.「一文は短めに」一文一義を心がけること

三.複文はなるべく減らすこと

四.無駄な言葉は削りに削れ!

五.主述はできるだけ近くに置くこと

六.“パラグラフ思考”で文章を考える

七.パソコン、インターネットを疑え

八.「リライトも創造である」と心がけよ

九.あやふやな漢字や言葉は、必ず辞書に相談

十.出稿前に最低三回は読み返すこと