大川端だより(236)


大阪は相変わらず暑いです。今日も蒸し暑く、30度以上あったと思います。東京などは随分涼しくなっているようなのに。まあ、タイガースが熱い戦いを続けているので、そのせいもあるのかもしれません。ところで、本日メルマガ「市民ライター通信」の10月号を発行しました。ぼくも下記のような記事を書いています。みなさん、村上ショージは好きですか?
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■【5】この「人」を褒めよ!    ◇◆◇◆◇

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             ■ 村上ショージ ■

                               thayama

昔から村上ショージが好きだった。きゃつが出てきて、「ドゥーン!」とか
「なにをゆ〜早見優〜」とか「軍隊、変態、そうですたい」などのギャグをか
ますと、笑いがこみ上げてきた。しかし世間では、ショージは面白くない芸人
の代表格とされている。明石家さんまの腰巾着のように見なされ、本人も「さ
んまさんに憧れて吉本入りした」と公言しているが、実は二人は1955年生まれ
の同い年なのである。

 
 毎日放送の「痛快!明石家電視台」などの番組で、さんまとショージの掛け
合いを見ていると、さんまは本当にショージのことをオモシロイと思っている
のだろう、と感じられる。さんまは、笑いながら、いつもの冷静で観察的な目
の色ではなく、心から可笑しがっていることが分かる。彼がショージに向かっ
て、「お前は俺だけに面白い」と言うように、ショージの笑いの感覚は、なか
なか世間、とくに東京方面では理解の枠組みを外れているようだ。


 ショージの笑いに対して、世間一般でよく言われるのが、「芸がない」とか
「ギャグがすべる」「一般人扱い」などだが、ウィキペディアによると、これ
らは「全てショージの持ちネタの一つであり、誰でも突っ込めるようなベタな
ネタを平然と行うのが強みである」となる。また、「ギャグで笑わせるのでは
なく、ギャグがスベった後の妙な雰囲気とおかしさが観客の笑いを誘う、いわ
ゆる『スベリ芸』を世間一般に広めた代表格の一人と言える」ということであ
る。

 しかしぼくの感じはちょっと違う。「ギャグのあとのシラケ」を笑う、とい
う感覚ではなく、「こんなオモロイことを言う奴に、シラケている君らを笑っ
てやる」という優越感と、ショージの面白さ、つまり村上ショージという人間
存在そのものの可笑しさが面白いのである。村上ショージの面白さについて
書いていると、ギャグの面白さが分からない人に、その面白さを解説している
ような、隔靴掻痒の感が否めない。つまり、村上ショージの何が面白いのか、
自分でも真から分かっていないのだと思う。


 ここに笑いの特質があるのではないだろうか。怒りや悲しみは、わりと
分析的に解説できる。自分が何に怒っているのか、何を悲しんでいるのか
分からず、怒ったり悲しんだりすることは稀であるが、面白さというのは「何
となくオモシロイ」がある。おそらく、感覚としては、笑いは怒りや悲しみよ
りあとから人間の中に形成されたものなんだろうと思う。犬や猫は、怒り、悲
しみはするが、笑わない。


 最近、村上ショージはミスター・ドーナツというメジャー企業のTVコマー
シャルに出ている。彼の笑いの感覚が、世間にも浸透し始めているのかもしれ
ない。また、ある種の憧れをもって「ショージさんのようになりたい」と言う
吉本の若手芸人も多いらしいが、それはおそらく「存在そのものの可笑しさ」
に対する憧れなんだと思う。