大川端だより(235)


今日の安倍内閣メールマガジン(第46号)の[こんにちは、安倍晋三です]という巻頭エッセイにおいて、安倍首相は、「改革、テロとの闘いを前に進めるために」と題した文章を掲載し、そのなかで改めて辞意を表明をしている。


「こんにちは、安倍晋三です。内閣総理大臣の職を辞することを決意いたしました。」から始まるこの文章は、そのあと、いかに自分が「全力で」取り組んできたか、努力してきたか、を訴え、参院戦では敗退したけれど、「テロとの闘い、国際社会から期待されている、高い評価をされている活動を中断することがあってはならない、なんとしても継続していかなければならない」と言う。そして、この文章は下記のように続いていく。


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 国際社会への貢献、これは私の「主張する外交」の中核であります。この
政策は、なんとしてもやり遂げていく責任が私にはある。こうした思いで、
活動を中断しないために全力を尽くしていく、職を賭していくと申しました。

 テロとの闘いを継続するためには、あらゆる努力をする。環境づくりにつ
いても努力しなければならない。一身をなげうつ覚悟で、全力で努力すべき
と考えてまいりました。

 そのために、私は何をすべきか。

 局面を転換しなければならない。これが私に課せられた責任であると考え
ました。

 改革を進めていく、その決意で続投し、内閣改造を行ったわけですが、今
の状況で、国民の支持、信頼の上で、力強く政策を前に進めていくのは困難
である。ここは、けじめをつけることによって、局面を打開しなければなら
ない。そう判断するにいたりました。

 新たな総理のもとでテロとの闘いを継続していく。それを目指すべきでは
ないだろうか。今月末の国連総会へも、新しい総理が行くことがむしろ局面
を変えていくためにはよいのではないか、と考えました。

 決断が先に延びることで困難が大きくなる、決断はなるべく早く行わなけ
ればならない、と判断いたしました。

 無責任と言われるかもしれません。しかし、国家のため、国民のみなさん
のためには、私は、今、身を引くことが最善だと判断しました。

 約1年間、メルマガの読者のみなさん、国民のみなさん、ありがとうござ
いました。

 この間にいただいた、みなさんの忌憚のないご意見、心温まる激励を、私
は決して忘れません。

 私は官邸を去りますが、改革、そしてテロとの闘いは続きます。これから
も、みなさんのご支援をお願いします。(晋)


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そして、この後に続くのが、元岩手県知事で、民間機用の増田寛也総務大臣の[大臣室から]というシリーズ記事である。


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● 現場の視点を忘れずに

 こんにちは。総務大臣増田寛也です。

 私は、これまで12年間、地方政府の知事として、県民の皆さんとともに
現場で汗を流してきました。この度、地方行政、情報通信行政、行政管理な
ど、国民生活を支える広範な行政機能を担う総務大臣として国政に参加する
ことになりました。また、特命大臣として、地方分権改革、地方・都市格差
是正、道州制郵政民営化も担当します。皆さんの声に真摯に耳を傾けなが
ら、精一杯努めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 民間人として大臣に任命され、皆さんから期待されていることは、地方の
実態に即した現場の視点としがらみのない自由な発想。総理からは、地域が
活性化するような知恵を是非出して実行するようにとの指示をいただきまし
た。(以下略)


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こんなチグハグなメールマガジンを平気で出すところが、安倍内閣の限界なんだろうと思った。そもそも「局面を打開するために」自分が辞める、というのは言い訳にしか過ぎないし、「国家のため、国民のために身を引く」という言い方は無責任であるが、その通りで、早く辞めてもらって良かった、と思っている人は多いに違いない。


それから、アベちゃんは「テロとの闘い」ということを盛んに強調するが、そんなものはアメリカが東西冷戦後の新たな敵づくりのためにでっち上げたもので、アフガニスタンイラクの民衆からは「アメリカこそテロリストだ」との声も大きい。しかし、ブッシュもアベちゃんも本気で「テロとの闘い」を信じているんだろうなあ。おめでたい人たちである。