大川端だより(233)


遅ればせながら、9日(日)の「遊学亭」は面白かった。ゲストはマーケティングコンサルタントで、『Volo(ウォロ)』の編集委員などもしていただいている古野茂実さん。彼は、ミュージシャン(ドラマー)でもあり、コーヒー焙煎のプロでもあるというユニークな人物である。近畿のある自治体の農業指導員でもある。喫茶店スタイルで美味しいコーヒーをいただきながらの楽しい学びの刻、まさに至福の「遊学亭」だった。


話の中心は古野さんの師匠と師匠の師匠について。古野さんの師匠というのがコーヒーのプロで、別に彼は師匠からコンサル業務について習ったわけではない。また、その師匠の師匠というのが、ビリヤードの達人で、すでに亡くなっておられるそうだが、古野さんが師匠の師匠から習ったのは玉突き(スリー・クッションというポケットのないもの)であって、マーケティングではない。しかし、古野さんはこれら二人の師匠から人間関係やビジネス、学ぶとは、教えるとはどういうことか、についての奥義を学ばれたようだ。


例えば、上に掲げた写真のホワイトボードに書かれているのは師匠の師匠がビリヤードについて語った言葉らしいのだが、教えたことが本当に分かっているのか分かっていないのかは、その人のプレーそのものを見ていたら分かる、ということで、いくら「分かった」と言っても、それがプレーに出ていないと、分かっていないのだ、ということらしい。


「分かるいうことは行き先が見えること。見えたら、行こうとしますやろ〜。方向が合うてたら、そのうち着きますがな」という師匠の師匠の言葉の含蓄は深い。これはそのまま企画やビジネス、経営の奥義であり、教育の奥義でもあり、語学やスポーツの奥義でもある。もちろん、市民活動やNPOの奥義でもあると思う。行く方向が見えていて、そこへ行き着こうとする意志があり、不断の行動を重ねさえすれば、そのうち目標は達成される、ということだろう。