大川端だより(226)

今日の読売新聞夕刊の1面を見て驚いてしまった。右側に大きくタテ書きで「大阪世界陸上開幕」とヘッドラインがあり、真ん中にはデンと男子マラソンの写真が掲げてある。写真の下にはヨコ書きで「マラソン尾方5位」と中見出しがある。そしてその下に、日本人選手二人の写真(キャプションは「健闘をたたえあう尾方選手[左]と諏訪選手」)が置かれ、もう一つタテ書きで「大崎6位諏訪7位」と見出しがあり、その下に小さく「『金』はキベト」と書かれている。


最初このページを見たとき、なぜ優勝した選手の名前がないのかと訝ったのだが、記事の中に短く「30キロ過ぎでスパートしたケニアの新鋭、ルーク・キベト選手が2時間15分59秒で初優勝を飾った」との事実だけの記述があり、上述した「『金』はキベト」の小さな小さな、そして6位と7位の日本人選手よりも下に置かれたキベトの名前を見つけて、日本の新聞にもそれぐらいの常識(一応1位の選手のことも1面に載せるという)はあるのだなあ…、と溜息をついた。


もちろん2面には「キベト転倒直後直後スパート」との見出しとともに同選手のゴールの写真もあるのだが、「世界陸上」における開幕レースの報道なら、当然1面に優勝者の名前と写真、そして解説記事はもっと大々的に扱うべきではないのか?1面の世界陸上関連の記事は2本。1本はもちろんレースの概要を伝える記事である。しかしもう1本は、「家族のために走った 尾方」という見出しの記事で、5日本人最高位の選手のちょっとした“お涙頂戴”ストーリーである。


オリンピックでもメジャーリーグ野球の報道でも、マスコミは日本人選手のことにしか触れない。しかし、スポーツの報道は、それぞれの競技の全体像を伝えて欲しいものだ。イチローや松井の安打やホームラン数だけではなく、マリナーズヤンキースのチーム状態やいろんな選手のこと、また競合チームのことも含めてMLBの現実と真実を伝えるべきではないだろうか。今の日本のマスコミの国際的なスポーツ報道の仕方はとても国粋主義的である。日本人選手のことだけではなく、もっとスポーツ自体をバランス良く報道しなさい、と言っておこう。