大川端だより(206)

子どもの間で高所恐怖症ならぬ“高所平気症”が増えているらしい。それが、最近、子どものマンションなどからの転落事故が多い原因の一つだという。近年、生まれたときから高層マンションで暮らすケースが急増し、高所に慣れきってしまうと、高いところにいることに対する恐怖心がなくなるらしい。確かに、地面に近い平屋の住居などで暮しなれると、3〜4階から下を見ても怖く感じるものだが、いつも13階とかで暮していると、高さに対する恐怖心はなくなるだろう。


よく考えてみると、人間がこんなに高所で暮らすようになったのはごくごく最近のことで、子どもの時から地上10数メートルで生活するなどということは尋常ではない。自然の中で暮していたらそんなことは起こりえない。だから、高層マンションで生まれ育った子どもは、大人が頻繁に地上に連れ出し、ブランコに乗せたり、鉄棒遊びをさせたり、木登りをさせるなど、高低感覚がつくような遊びをさせる必要がある。それをさせると、わりと簡単に高所平気症は克服できるという。


ところが、同居している親などがあまり外出をしないタイプだと、子どもは高層のベランダなどで遊ぶ癖がついてしまい、高所を全く怖がらなくなるのだ。だからやっぱり、現代の不自然な生活を余儀なくされる子どもたちには、できるかぎり自然に近い遊びや暮らしを体験させることが必要なのだ。うちのフク(猫です)なんかも、ずっとマンションの6階暮らしで、ほとんど地上に降りたことがないから、転落事故に気をつけないといけないなあ。