大川端だより(175)

ぼくは子どもの頃から「大草原」のイメージに憧れるところがあった。北米大陸の、バッファローが疾駆しインディアンが馬を駆る大平原。南米のパンパス。シベリアのツンドラ地帯。そしてモンゴルの大草原。これらは、深山幽谷や島々と内海などの日本的風景には無い、広々とした豊饒を感じさせる草の大海である。


ウォーキングの途中、初夏の草草の繁茂を愛でながらそんな思いにふけっていた。そして、事務所へ帰ってくると、なにやら下界が騒がしい。屋上へ上がってみると、扇町総合高校のグランドで運動会をやっている。昔は運動会と言えば、秋の休日と決まっていたものだが、今はこんな時季にやるようだ。平日だから、親も見に行ける人は少ないだろう。秋の晴れた日の親が来てくれた運動会のわくわく感を覚えているわれわれの世代にとっては、なんかもの足りん。