大川端だより(100)

おお、もう百回もこの便りを書いているのか…。ところで、編集・演出と関西テレビあるある大事典」の捏造の違いはどこにあるのだろう。と、ここで電子辞書で「捏造」を調べてみる。えっ!驚いた。捏造の読みは本当は「でつぞう」だそうだ。


■【「でつぞう(捏造)」の慣用読み】実際にありもしない事柄を、事実であるかのようにつくり上げること。でっちあげ。「会見記を−−する」■


…とある。でも今、「ねつぞう」を「でつぞう」と読む人はいないだろう。とまあ、話は逸れたが、ぼくの電子辞書「パピルス」の「スーパー大辞林」によると、捏造とは、事実ではないことをあたかも事実のように偽作することである。


それと比べて、編集や演出は、事実を誇張したり、並べ替えたり、時にはハショッタリして、読者や観客により分かりやすく、より魅力的に、より感動を与えるように、創作することである。だから、ありもしないことをあるようには言わないが、そのまま(というのが何か、議論の余地はあるが…)ではなく、フィクションが入っている。


しかし、ぼくらものを創作する人間が注意しなければならないことは、編集・演出と捏造との距離の意外な近さである。とくに大向こう受けをクライアントに期待されているとき、往々にしてその距離は縮まりやすいようだ。自戒を込めて…。