大川端だより(82)

今日はクリスマスイブ。中之島はイルミネーションが満載である。ぼくは全く無宗教だけど、宗教にまつわる伝統的な行事は嫌いではない。というより、大体ほとんどの伝統行事は宗教がらみである。盆踊り、秋祭り、イースター、クリスマス、正月、どれも根本のところで宗教が関わっている。というのは、昔は人間の暮らしと宗教が渾然一体となっていたからだ。多くの人たちが飢えたり、災害にあったり、戦乱に巻き込まれ、無力感を感じたとき、宗教以外にすがるものがなかったからだろう。でも今、僕が宗教を必要としていないのはなぜなんだろう。いろんな意味で、そんなに苦しくないからだと思う。外から見ると、この歳で財産もなく、借家住まいのうえ、稼ぎも悪いので「苦しいはずだ」と思うかもしれないが、それは気持ちの持ちよう。江戸っ子の“その日暮らし”が理想かもしれない。